#8 あと少しなのに

2014年9月15日

岩手県内陸 北上川水系支流の支流


シーズンも終盤。

かっちょいいヤマメを釣り上げて気分良く湖に切り替えたいところ。

幸運にも雨が降った。となると、行く川はあそこだろうと友人と悪巧みして夜も明けきらぬうちに車のノーズを林道に向けていく。

ダムに注ぐ小渓流、普段は水が少ないがその分増水後の反動が凄い川なのだ。

それなりに時間が掛かる工程なので、本日は気合を入れて火器を持参。


いざ!

下流の堰堤上からエントリーし、二人交互に交代しながら釣り上がる。

本命はさらに堰堤を2つ高巻いてからの区間。

夏から本格的に試しているアドニスの最終プロトを今日は主に使うことにする。

タイミングは悪くなさそう。

それらしいポイントからは反応とチェイスあり。そして、ヒットする。

もうすぐ産卵を控え色付きはじめたヤマメが美しい。アベレージは22~24を超えるところという程度だが、ここのヤマメは美形だ。

手が大きいから小さく見えるけどこれでも8寸あるの
手が大きいから小さく見えるけどこれでも8寸あるの

ミノーは仕事をこなしている。泳ぎに多少改善したいところはあるが、そのための改善ポイントははっきりしているし。

いつもだけど、ミノーを思い通りのところへプレゼントすることが重要だ。

それが一番難しかったりして永遠の課題のような気がするけど。

7mまでのキャストなら直径15cmの円の中へコンスタントに入れられるくらいにはなりたい。

使い手にも改善点ありまくり。

現場に通って練習あるのみ。


友人もヒットを重ねているが、二人とも良型と言えるサイズは掛けていない。

必ず居る筈。魚に釣り人の腕が追い付いていないから釣れないだけなのだ。

次の堰堤を高巻く。

そろそろ本命の区間に入る。

堰堤上からちょっと進んだところにある何気ないポイント。

3投目くらいに2匹が反応した。

細い流れが岩盤にあたり筋の向きを変えるポイント
細い流れが岩盤にあたり筋の向きを変えるポイント

日陰で見難いが、ペアだろう。

大きい方が強く反応して足元近くまで追ってくる。26くらいに見えた。

胸ヒレを広げてぐわぐわとミノーに反応し臨戦態勢。

そして、2投目だったか足元でヒット!

やり取りらしいやり取りも無く直ぐにランディング。


あれ?思っていたより大きいな。友人からネットを借りて身体測定。

28を超えてるけど尺には届かず。

去年は29だったぞ。なかなか尺は釣らせてくれない川だ。

実は7月に一人で来たときにこれより一回り大きい雄を手元で落とすし。

腕がやはり足りない。

イケメン
イケメン
暗いからノイズが・・・明るいレンズのカメラが欲しい
暗いからノイズが・・・明るいレンズのカメラが欲しい

何枚かグラビア撮影にお付き合いいただいて元の場にお帰りいただく。

こちらのワガママの相手をしてくれてありがとう。


少し進むと開けた場所があり。

食事を摂ることに。

自作のアルコールストーブが活躍する。

2人とももアルスト。この軽量さは魅力的。メスティンに一式収納できる。(私のはこの時はメスティンもどき)

湯沸し程度ならこれで十分
湯沸し程度ならこれで十分
燃費が悪いのでBIGサイズ
燃費が悪いのでBIGサイズ

熱いスープが沁みる。燃料補給完了。

 

本命区間も残り少ない。

休憩場所から近いところで、美形がヒット。

むっちり系だ。

アドニスを小気味よくヒラ打たせて、サイトで合わせた。

短い距離でも細かくトゥイッチが刻めるので、こんな釣りがやりやすい。

後ろから、ヒットの声。

すぐ次のポイントで釣れたらしい。

アローで釣ってくれたヤマメと2ショット
アローで釣ってくれたヤマメと2ショット

こいつはクラリスだ。 と友人がぼやく。

来年釣れば不二子ちゃんになってるはず。

そうなると容易には釣れなくなってそうだけど。

 

美味しい区間も終わり、魚はまだ見えるもののサイズが落ちてきた。

今年この川は今回が最後。

もう少しといった結果だが十分楽しめたし、新型も上々。

来年こそはこの川で尺上を。

 

Tackle

    Rod CASKET Revolusion RB55MS

    Reel Abu Cardinal 33 (Smooth Drag washer tune)

    Line ナイロン5lb

    Minnow  Rhetenor 48S Rh52HS  Arrow53S  Adonis50Sプロト 



#7 晴天に銀鱗輝く

2014年7月17日

岩手県内陸 北上川水系支流の支流


1週間前にまとまった雨が降ったきり、それからは連日の快晴と高気温。

増水していた川もすっかり渇水の状態だ。


そんな状況で敢えて小さな小渓流に足を運んでしまうのはある種の中毒なのか。

釣り人はこういうときは普通、水のある川に行ってしまいがちなのでバッティングしないだろうという考えもあるが、実際入渓してみると最近の足跡は無い。

この点は好都合。

しかし、予想以上に渇水が酷く普段の半分程度。

川幅が狭まるところでは一跨ぎできそうなほど。


当然、魚の付き場は限られるので数少ない深場(といっても50~70cm程度)とシェード周り。

渇水によるプレッシャーは相当なものでキャストしたミノーの影に怯えて着水前にヤマメが逃げていく。

何度も走る魚影は小さなものばかり。

小さな淵に5匹以上かたまっているのを発見したがミノーへはすこぶる反応が悪い。

ムキになって小さなスピナーまで繰り出して攻めて何とか1バイトさせるも、乗せられず。

その後は沈黙。


おそらく、今日これからこの状況は変わらない。

ならばとミノーにつけ直し、キャスティング練習に徹するつもりで。

狙うべき場所はピンスポットで、極度の渇水に加え倒木の枝が複雑に刺さる渓相とクモの巣。

腰をかがめながらティップだけしか振れるスペースが無かったりと。

練習の舞台としては文句無し。

ジャングルジムの升目の中を通していく様なイメージが浮かんだ。

難易度いと高し。攻略出来ないものも少なくないが、こういう状況も結構好きなのである。

やはり病気らしい。

なんとかヒットさせたヤマメはかわいいサイズで顔つきは幼いがパーマークは完璧。

側線近くまで黒点が飛んでたりするのがおもしろい。

こういうやつのデカいのが獲りたいのだ。

この子は来年に期待。


こんな感じで釣り上がるがテクニカルな状況ばかり続くと凄く疲れてしまう。

もっと釣り上がりたかったが適当な場所で川を上がった。

林道を車で下り、県道に出る。

直ぐ近くに今釣った支流と本流の合流点がある。

なんとなく気になってその場所を小さな橋の上から覗いてみた。

ビビビッと感じるものがあり、絶対怪しいと思った。

本流も渇水と高水温で良くない水に見えたが、支流の生きた水が流れ込む合流点だけは水色が違いそのポイントを際立たせている。


これはやらねば。

近くに車をデポして、さっそく川へ降りる。

一つ下のカーブは深さがあり柳の木が被さっておいしそうだが出ない。やはり。

3投で見切って本命の合流点へ。


ミノーはRh52HSにした。

念のため距離を取ってアプローチしたかったのと、着水後すぐにある程度のレンジに入ってほしかったための選択。

開けた本流は邪魔するものは無く、オーバーヘッドから放たれたミノーはほぼ狙い通りの流芯から少しずらしたところへ着水した。


ハンドルを一回し、リップに水を噛ませた感触が伝わったところでトゥイッチ開始。

1、2、3 とティップを煽った直後に衝撃が来る。

流芯下からサーベルが翻る。

身体は反射的に合わせ。フッキングは決まったようだ。

ぐりぐりと回すハンドルは重く、ドラグが泣きながらその仕事ぶりを知らせる。

ノーマルとは違う働きぶり。


ジッジジッジ!


必要な分だけ力を逃しスムーズにラインを送り出している。

苦労してセッティングを出した甲斐があった。


やっぱ、これだろ~!


思わずこんなことを漏らしながら巻き寄せる。

ギラギラと眩しく反射させながら手元に近づいたヤマメをネットイン。

尺越えの本流育ちらしいその魚体を眺めながら、元は付近の支流から落ちてきた個体なのだろうかと思いを巡らせる。

 

Tackle

    Rod CASKET Revolusion RB55MS

    Reel Abu Cardinal 33 (Smooth Drag washer tune)

    Line ナイロン5lb

    Minnow Rhetenor 48S Rh52HS 



#6 濁りの川で

2014年7月12日

岩手県内陸 北上川水系支流の支流

 

昨日一昨日にまとまった雨があり付近の川は何処も増水中。

釣りをするには早い段階ながら、何とかミノーが通せる流れは無いかと思案し、夏季は普段いつも渇水している沢ともいえる一つの川に狙いを付ける。

そこへ友人と共に向かう。

 

普段はクリアな水が流れるこの川も水量がかなり増し、やはり濁っていた。

透明度は浅瀬ならミノーが見える程度で、50cm沈めれば視認が難しい。

これ以上濁っていると釣りは厳しい感じ。

比較的下流の区間に入渓し、もともと魚影の多い区間ではないもののいつもよりチェイスがない。

ヤマメを釣るなら2日後かなという印象を持ちながらポイントを打っていく。

時折確認できるチェイスもミノーがよく見えていない様子で、途中で諦めたりスピード感に欠ける。

 

交互に釣り上がり、この川では大きな淵に到着する。

入渓点から近い事もあってか抜かれていて普段はほとんど期待していないポイントなのだが濁りの今日はどうか。

普段は1.5m前後の淵で底まで見通せるが今日は写真の状態だ。

友人がカタにミノーを通していると20位のが反応したのが見えた。

しかし、動きは鈍く結局それはヒットせず。

次に流れ込みを数分間攻めるが反応はなし。

濁った沢 水中は良く見えない
濁った沢 水中は良く見えない

選手交代。


期待薄だが、今日の増水状態では魚は深みに入っているのは間違いないと思われる。

ヤマメは周りの状態がまだよく見えないから中層に浮いている可能性はないと判断、しかし餌は獲りたがっているだろうから流芯付近のかけ上がりの一番下に居ると決めた。

素早く沈めるためにミノーはRh52HSで、濁りの中で反射光が少しでも届きやすいようにカラーは暖色系のRPYM(プロト)を選んだ。


左奥、流れ込みの白泡に入れて沈めながらドリフト。

かけ上がりに沿うように沈めながらトゥイッチによって存在を知らせる。

そんなイメージを持って何投も攻め続けていると、ガツッ!と来た。

当たりは明確だが、濁りのせいか強く走ることはなくグネりながらも手元に寄ってくる。

足元に導いたヤマメは予想よりも良い型で28cm。

川の規模と腕のせいもあってか普段25cmを越えるヤマメがなかなか見られないこの川では十分イイ魚。

今日の状況での初釣果と雄ということもあってこれは嬉しい。

艶々の魚体が日を浴びて輝いていた。

 

Tackle

    Rod CASKET Revolusion RB55MS

    Reel Abu Cardinal 33 (Smooth Drag washer tune)

    Line ナイロン5lb

    Minnow Rhetenor 48S Rh52HS 



#5 尺ヤマメの一本釣り

2014年6月24日

岩手県内陸 北上川水系支流の支流(#1と同一河川)

 

 

県内は最近好天に恵まれていてすっかり夏の陽気だ。

当然、川の水位は下がり渇水となり水温も上昇中。

この時期になると日に日に葦が凄い勢いで生育してくる。

おまけに川幅が3mもない川となるとそこら中にクモの巣が張り巡らされ、釣り人に意地悪をする。

我々にとってはストレスとなるが、葦の林は虫の隠れ家であり、虫が多いからこそこれほどのクモの巣があるのだ。

この状態は魚にとっては良い環境なのだろう。

 

今日は朝一からではなく十分に明るくなってから出発したため既にかなり太陽は高く、気温と共に水温も高くなってしまっている。

先程、計ってみたところ20℃位もある。

普段はこの川の上流域に入っているのだが、当然下流にも居る筈という予想と事前に衛星写真から見たところ怪しいポイントが写っていたのでそれを確認しに来たのだ。

この区間はあまり蛇行したりはせず直線的だが、勾配は緩くコンクリートブロックが続いていたりする。

渇水と高水温でトロ場の水の状態は悪く、魚が反応するのは瀬と落ち込み周辺だろうと予測して釣り上がる。

短い瀬で小さな魚がチェイスするがその黒みがかった背中を見るにウグイだろう。

それにしてもこの区間はクモの巣がうるさい。

先程からラインにまとわりつき団子になったのしごいて除去しながら何回も結び替えている。

その回数は軽く15回は越えたか。

さすがにこの環境とロッドを自由に振れるスペースが少ないからか、他の釣り人の形跡はほとんど見かけない。

 

未だトラウトからのコンタクトはないが、少し釣り上がったところで小さな落ち込みが見えた。

落ち込みの流れに沿って並んでいるコンクリートブロックの脇は少しえぐれているようだ。

 

ちょっといい感じだぞ。

 

釣った場所の一つ下のポイントを下流に見る
釣った場所の一つ下のポイントを下流に見る

落ち込みの5m下流にポジションして白泡へキャスト。

すると、コンクリブロックの小さなエグレから黒い影が走ってきたのが見えた。

まもなく手元にグッとした感触が来て、よし!っと合わせを入れた次の瞬間にテンションが消える。


えぇ~!


ティップのちょっと先からフラフラとたなびくラインに高切れしたことを刹那に理解する。

ヤマメの方は状況が分かっていないのかその場にてローリングを繰り返していた。

3~4m切れたままのラインがミノーと、そしてヤマメと繋がったままだ。

ほとんど考える間もなくダッシュして、浅瀬に流れるラインを掴んだ。

急いで両手で手繰り寄せ、ネットで掬った。


獲った!!


釣ったではなく獲った。まさしくそんな感じだった。

途中からは1本釣りだ。

見やすいカラーラインだったから助かった。クリアラインだったら水中のラインが見えなかっただろう。

ありがとう、VEP!!

ネットに入れたヤマメからミノーを外していると、意外と大きい。

9寸くらいかと思っていたけれど、サイズを測ると尺を少し超えるくらい。

今年最初の尺をこんな形でキャッチするとは、少々情けないが、アングラーはへっぽこだけれどミノーはちゃんと仕事したと思うことにして。


先程、結び替えをしていて結束部は問題なかったが、高切れしたということはその部分に団子があって見落としたのかもしれない。

目視によって劣化を判断するのは困難だから、何回も念入りに除去して結び替えるしかないのだろうね。



Tackle

    Rod Angler's Republic RERA KAMUY RRTS-53UL

    Reel Abu Cardinal 33

    Line ナイロン5lb

    Minnow  Arrow53S(プロトタイプ) 




#4 影の深みから

2014年5月25日

岩手県内陸 北上川水系支流



続いて次の日、前日の川から少し南下したところにある川だ。

最近目を付けている区間があってそこが気になっていた。

少し前に様子を見に行ってこの時期には見掛けないほどのパツパツの25㎝クラスが何本か釣れていたのでまた行ってみることにしたのだ。


この川を上中下流と分けて攻めてみている。

まずは下流域に入渓。

堰堤のコンクリートの壁から落ちるようにエントリー。

県道がすぐ近くに走っているのだが、そんなことは想像がつかない感じの渓相なのだ。

川原の無い部分も多く草や木が生い茂っているヤマメの区間だ。


ぽつぽつとは釣れるのだが8寸程度までと期待したほどではない。

少し前に誰かが入ったのかもしれない。

県道下の堰堤も不発。


次に中流。

入渓点が分かりづらく、途中葦の群生地帯が続いているので好き好んで入っている人は少なくルアーマンは殆ど入っていないと思われる区間。

途中に幾つかの小規模の堰堤があるがすべてに魚道があり機能している。

ココが本命区間なのだ。

まだ5月末だから葦の生育もそれ程ではない。7月になると手を出せないポイントがいくつもある。

だから、この区間のどこかには良い魚が残っているはずなのだ。

川幅は2~5m位。これ位あれば十分攻められる。
川幅は2~5m位。これ位あれば十分攻められる。

まだ、写真に収めるような魚には出逢っていない。

最初の小堰堤の下から9寸クラスが顔を見せるがヒットさせることが出来ない。


堰堤をそこから2つ越える。

葦が密生し、川幅は1mにまで狭まり葦のトンネルの中を流れている。

腰をかがめながら進んでトンネルを抜けると、少し視界が開け瀬が広がっている。

倒木のストラクチャー後ろから7寸ヤマメがヒット。

すぐ上手が最後の小堰堤だ。


上方より枝が覆いかぶさりオーバーハングして堰堤の奥の深みが薄暗く何とも言えない雰囲気になっている。

規模は小さいが必ず魚は入っているはず。

ミノーを試作のヘビーシンキングに結び替える。

奥のコンクリの隅を目掛けてキャスト。

一発で入った!


ガッゴゴゴ!!


一回目のトゥイッチ直後にいきなりの衝撃。

今までのサイズとは明らかに違う手応え。あれだけの衝撃ならばフックはガッツリ刺さったはず。

バットまで曲がったままのロッド、リールを巻くがその度にラインが出され全然寄ってこない。

それどころか落ち込みの下の白泡の中をぐるぐると泳ぎ回り、いまだに姿が見えない。

2分くらいはそうしていたと思うが実際はもう少し短かったかもしれない。

やっと少し疲れたのか泡の切れ間に近づき、反転した。


側面がピンクだ。ヤマメか!?でかい!40クラスだ!!


一瞬見えた側面が薄いメタリックピンクに反射したその姿を見て、今日はレラカムイ53ULでやっていることを後悔した。

このロッドでは完璧に力負けしている。

こんな魚が居るなら迷わずレボリューション55で臨んだ。

心拍数が急上昇し、バクバクいっているのがはっきりわかる。


ラインは5lbあるから、無理をしなければ切られない筈だ。

それにドラグは手を入れてある。先程から細かくラインを送り出し仕事をしている。

しかし、ロッドのパワーが足りないから走りを止めることが出来ない。

ライン・フックに負荷が増すのを承知で少し締めこむ。

少し距離が縮まった。

もう少しで姿が見える。


遂に出てきた。

底を這うように泳ぎ回るそれの背中はくすんだ色だったが、ヒレの縁取りは白かった。

白泡の中を出たり入ったりするようになり、ようやく疲れてきたのか。

一瞬、足元近くまで走ってきた姿を見て確信した。


イワナだ。


ヤマメでないと分かると急に気持ちに余裕が出来るようになった。

まだまだ力強く走り回っているが、これは獲れる。

ドラグを少し緩める。

少しずつ近くに寄ってきている。

ネットを背中から抜いて隣に置いて、水際でしゃがんでやりとりする。

2回、3回とネットを差しだし掬おうとするがその度にダッシュして奥へ逃げようとする。

もう5分くらいやり取りしてると思うが渓流でこれほどスタミナのあるイワナを掛けたのは初めてだ。

長時間のファイトでフックが伸びないか、穴が広がって外れないかが気になった。

太軸のフックではないのだ。


こっちに走ってきた。

そのまま横を走りぬけ、下手の瀬に下りてしまった。

これにはちょっと緊張した。

先程、ヤマメを掛けた倒木のストラクチャーまで行ってしまったら御終いだ。

フックが伸びそうで怖い。

走り回るイワナをダウンクロスの状態でなんとか耐えながら、ロッドをゆっくりリフトして元の堰堤まで誘導する。

どうにかして堰堤まで誘導することが出来、抵抗しているがやっと魚が浮いてくるようになった。

後ろにギューッとロッドを引いてようやくネットインに成功。

急いで生け簀を作り上げイワナをそこへ放す。

サイズ測定すると、やっぱりの40。

本流で50以上のは何本か釣ったことがあるけど、川幅4mもない小渓流でこれだけ立派なのが釣れたのは素直にうれしい。

これがもし、ヤマメだったら足が震えていたことだろう。

フックはやはり伸びていて外れる寸前だった。

プライヤーで外す時にドキッとした。


2013年から試している52HSはなかなかいい結果が出ていて、あと少しいじれば概ね良さそうだ。

ここから退渓点までのしばらくの間はヤマメに遊んでもらいながら進んだ。

この区間は殆どがヤマメでイワナは珍しい。

今回、このようなイワナに出会えるとは驚きだ。

退渓点近くの流れ これでも川幅が広いところ
退渓点近くの流れ これでも川幅が広いところ

そろそろ良いサイズのヤマメに会いたいなと川を上がった。

車まで30分も掛かるが、気分は上々だ。

 

Tackle

    Rod Angler's Republic RERA KAMUY RRTS-53UL

    Reel Abu Cardinal 33

    Line ナイロン5lb

    Minnow Rhetenor 48S Arrow53S 52HS 




#3 山岳渓流へ

2014年5月24日

岩手県内陸 北上川水系支流の支流

 

 

まとまった雨が降った。今日は土曜日。

薄暗く、まだ夜が明けきらない内に2台のSUV・クロカンが林道を上る。

一台を上に置いてから下って今日は思いきりこの川を攻めるのだ。

途中の区間は林道も入退渓も出来るポイントもないから、朝一に入ってしまえば頭を撥ねられる心配はない。

これで安心。

 

小さな川だが清冽な水が流れ、良いヤマメが居る。

直ぐに渇水になってしまうから大雨の後にしか入らないが、まとまった雨の後は行きたくてウズウズしてしまうところなのだ。

途中、高巻きや岩を越えていかなければならないからウェーダーでは厳しい。

機動力を重視して5月中旬からウェットゲータースタイルだ。

熱を逃がさないようにすれば水温は10℃を越えていれば問題ない。

次々に現れるポイントへ向かって足を進めていく。

登れ登れ! (友人)
登れ登れ! (友人)

魚たちの活性はすこぶる高い。

この川では今までで最高の状態ではないだろうか。

特別大きいのは見えないが8寸無いくらいがアベレージだ。

縦に伸びるパーマーク
縦に伸びるパーマーク
尻ビレをみてもおそらく
尻ビレをみてもおそらく

釣れてくる中には、パーマークが縦に伸びているように見えるものもいて、こいつは去年の秋に成熟したのではないかと思える。

緩いカーブの深みから(と言っても水深1mは無さそう)、凄い勢いでチェイスしミノーへアタックしたヤマメは、やたら肉付きがよく腹を下にして立つほどだ。この時期に何を餌にしてこれほど肥えているのか。

正面から見るとアイナメのようなスタイル。

このまま抜かれなかったらどこまで成長するのだろう。

 

途中、カップラーメンを食べて休憩をする。

お湯はもちろんアルコールストーブを使ってだ。

身体に滲みる味だ。

 

とある堰堤へ到着。

下は岩盤になって掘れている。正面は勢いが強くてミノーを流せない。

私は右手、友人は左手に分かれて攻める。

確か私には2匹程ヒットした記憶がある。

 

友人が声を上げる。

30後半はあるのではないかというヤマメが手前まで追ってきたという。

レテノールで続けて攻める友人の隣で淵を見つめる。

ヒラを打ちながら戻ってくるミノーの後ろで、白い腹がギラリ。

水面の波立ちではっきりとはしなかったが、やはり良いサイズに思える。

ヘレナまで繰り出して攻めるが、その魚は結局はヒットしなかった。

一回目に反応した時にヒットさせなければ厳しいんだということだろう。

 

堰堤を越える。しばらくすれば早朝に車をデポした林道とぶつかる。

相変わらず、魚たちは陽気で8寸前後のヤマメがミノーにじゃれてくるが先のようなサイズは姿を見せない。

今日は水があるのでデポした地点を過ぎた上流の様子も見てみる。

浅瀬が多くなり、深さが無くなるので魚は居るがサイズは落ちていく。

まだしばらくはヤマメがいるようだ。

 

林道を車まで下る。

大雨が降ったら夏にまた来よう。

 

 

Tackle

    Rod Casket Revolution RB55MS

    Reel Abu Cardinal 33

    Line ナイロン5lb

    Minnow Rhetenor 48S Arrow53S Helena53SMDT 52HSプロト 

 



#2 入魂

2014年5月4日

岩手県内陸 北上川水系支流

 

 

GW、本日午前中イーハトーブ釣具店様へ新作アロー53Sの納品に伺った。

少し前に気になっていたロッドが発売されたので現物を見て良さそうだったら購入しようと思っていたのだ。

アングラーズリパブリック社 レラカムイ。

普段は、レボリューションRB55MSだけれど、もう少し短いのが1本欲しかった。

お店には、51L と 53UL の両モデルとも有って、実際に軽く振らせてもらう。

使うミノーが3g台が主体なので53ULが良かろうと思い、購入決定!となる。

 

お店を昼前に後にして、帰路北上方面へ。

車の後ろにはベストやらウェーダーを積んできた。最初から帰りに何処かへ寄って入魂しようと企んできたのだ。

土地勘のある隣町の川へと取り敢えず向かう。

この川は春先から何回か来ている。

昼過ぎになっているので既に誰か入っている可能性があるので、一番人が入らないであろう水量の少ない支流に入渓する。

 

入渓ポイントから少し釣り上がり堰堤上に出る。

2週間前まではプールと言えるほど水を蓄えていた此処も今は大きな水溜りだ。

ロッドの感じは悪くない。軽く振ると勝手にミノーの重さが乗って、シューンと飛ばしてくれる。

トゥイッチも問題なし。

魚からのコンタクトはまだ無し。

 

さて、水溜り。

直径3mで深さ1m位かな。底が粘土質のようで若干濁っていて見通すことは出来ない。

アローをプレゼントしてチョイチョイと引いてくると、底からぶわり、ぶわり。

シャンパン色の腹を翻すのはイワナだ。

 

2投目。

チョイチョイ、ガツン! すかさず、グッと合わせる。

しかし、乗らず。

3投目。

また、ガツン! また、グッと。

また、すぐバレる。

4投目。

またまた、ガツン! 今度は強めに、グッ。

ぐねぐねと抵抗しつつも手元へ。

んで、手元でポロり。

 

フックが貫通しきってないみたいだ。

バットパワーがレボと比べると随分落ちてるので、いつもの感覚では刺さりきらないのだ。

ティップの張りはレラカムイの方がむしろある感じなのだが。

それと合わせるタイミングがレボと若干違うのか。

 

う~ん・・・。

 

堰堤上は水量的には沢レベルといったところで川幅は1m程度。

勾配は緩いのでカーブが何カ所かあってそこが主なポイント。

ヤマメは居ると思っていなかったのだが何匹も居て、イワナ共に応戦してくれる。

こんな場所に来る重病ルアーマンは居ないであろうから、ミノーへの反応はピュアだ。

でも、釣れない。

5匹連続で掛け損ねたり、バラす。

 

んあ~っ!

 

慣れないロッドとはいえ酷い腕だ。

合わせが効きにくいということを考えてドラグを締める。

レボで合わせた時は、ジッと鳴るけどそれより強めに鳴らないように。

そうするとやっと1匹イワナが釣れた。

 

ふぅ~。

 

浅瀬でヤマメに弄ばれた後の次のポイントはカーブだ。

 

両側からボサや枯れ枝が意地悪している。特に右のボサが厄介。

奥の流れ込みまで5mも無いのだけど、奥までミノーを届けるには左50cmの間を通さなくてはいけない。

右のボサ下が深くなっているので、着水後ロッド操作して右のボサ下へラインを通すようにする。

アローで奥の的を射ぬく。

そんなイメージ。

 

・・・したはいいのだけれど最初の2投は失敗。

着水前にサミングで急ブレーキして、ミノーを無理矢理戻す。

 

3投目。

奥まで入った!

ラインを右に持ってきて、トゥイッチ!トゥイッチ!

 

ガッコン!!

 

一瞬で良いサイズが掛かったのが分かる。

強くロッドを煽る。ドラグは鳴らせない。

水中の枝に潜られると獲れないので、グリグリと巻く。

 

ガボガボッ!

 

水面を波立させながら近づいてくる。

大丈夫、しっかり刺さってる。

おっ!太いぞ。

イワナ 33cm。

いるんですねぇ、川幅1mのところにも。

無理矢理巻いて寄せてしまったけれど、パワフルだった。

顔は厳つく、肉厚ボディ。

イワナ特有のパープルメタリックが美しい。

 

なんとかイイ魚で入魂できたので2匹しか釣れてないが良しとする。

そんなことを思いながら歩いていくと、上流の方に違和感。

黒いのが右岸の上に。

対岸方向を見ている。奴との距離は20m位か。

不思議と怖くない、この距離だと意外と冷静だ。

鈴をチリンチリン!と鳴らすと、彼(彼女?)はこちらを振り向いた。

互いの視線が合う。

2秒程見つめあった後、トテトテと早歩きで川を渡って対岸の藪へ入っていった。

手をパンパン!と叩くと小走りになって消えていった。

 

すぐ近くの退渓点ではヤマメが反応したけれど喰わせることが出来ずに釣りは終了。

 

林道を歩いて下りながら、写真を撮るべきだったなぁ・・・と後悔。

ズームすれば写ったぞ。

撮ってから鈴を鳴らすべきだった。

の写真撮りたいと前から思っていたのに。

 

 

Tackle

    Rod Angler's Republic RERA KAMUY RRTS-53UL

    Reel Abu Cardinal 33

    Line ナイロン5lb

    Minnow Rhetenor 48S Arrow53S 



#1 2014 Start !

2014年3月1日

岩手県内陸 北上川水系支流の支流

 

 

明日は遂に2014年シーズンの開幕である。

そう思うとなかなか寝付けないのは毎度の事だ。

ゴロゴロしてるのもなんなのでZライトを点けてバルサを削る。

すると深夜から早朝へと変わるのは直ぐなのだ。

車に少し前から念入りに用意しておいたタックル一式を詰め込み友人を拾いに行く。

友人は数時間は寝たらしい。昨晩やり取りして目星をつけていた小渓流へ向かう。

事前に周辺に下見をして釣りが可能なことは確認済みだ。

 

到着して駐車スペースを探していると先行者発見。ルアーマン2人組。

我々より先に来ているとは彼らのオツムもなかなか重症だ。

となると移動。行先変更して20分ほど走り、別の渓流へ。

ここも駐車スペースを含め下見済み。

幸いながらここは先行者なし。早速準備してまだ雪が多く残る斜面を下っていく。

ラッセルが冬の間に鈍った体に活を入れる。

 

ラインをガイドに通しミノーをセット。今年初めてのキャストはなんとも頼りない。

左右にずれるしサミングもイマイチ(残念ながら夏もだが)。春はリハビリみたいなもの。

すると、クロスに引いてきたミノーの後ろで白い腹が一瞬ヒラリ。

友人も早速流れ込みで良い型のイワナが反応したという。 

よしよし、反応が見れただけでも今日川に来た甲斐があるというもの。

先日交換したカーディナルのノブは実に快適だ。

朝の水温は3℃だ。

早春の渓流
早春の渓流

まばらではあるが反応してくれている魚たちの動きはやはり鈍い。

アップでのミノーの動きについてくるのは大変なようだ。

暫く進んで行くと目を付けていた水深があるポイントに到着。1.5m位は水深があると思われ中層以下は見えない。

私が最初にアップで攻めたが沈黙。

次に友人がクロスでかけ上がり近くを何回もトレース。

水面下30㎝も無いレンジでミノーがキラキラと踊っている。

突然下から、ぶわりと白い腹を見せつけてイワナが反転。

続けて同じようにアプローチ。2回ほど姿を見せたがバイトまでは至らず。

選手交代で私の番。

スナップに結んだのは52mmのHSのプロト。限界近くまでウェイトを詰め込んだヘビーシンキング。

5g弱あり、3gクラスのレテノールと同じピッチで動かすことは流石に出来ないがぶっ飛んでブリブリ泳いでヒラもしっかり打ってくれるのだ。2013年の秋から試運転中。

対岸手前に落とし、なるべくゆっくり横切らせるよう意識してトゥイッチを刻むと、ガツっとした手応えの後もんどりうっている魚体が見える。

少し上流まで誘導してフィニッシュ。

反応していた時は25,6cmに見えたのだが釣り上げてみると意外に大きく31cm弱だった。

冬の間もちゃんと餌をとっていたようで肉付きも良い。

シーズンの滑り出しとしては上々だ。

 

その後も進んで行って2匹程イワナを追加。どちらともクロスのアプローチで喰わせた。

うち1匹は先程の魚より長く32cm位だったのだが痩せているウナギ犬状態だったので写真は撮らずにリリース。

早く回復してほしいがまた釣られてしまいそうである。

 

昼ごろに上流の川が二つに分かれる場所に到着。

同じくして一方に別の釣り人がちょうどエントリーしていく後ろ姿が見えた。

林道をここまでラッセルしてくるとは彼もビョーキである。

 

こちらは彼とは別の支流をそのまま釣り上がる。

こっちの支流はポイントが少なく彼が入った流れが本命なのだが、水深のあるところには魚は付いているようで時折チェイスとヒットがある。

それほど時間もかからずに堰堤に到着。

この時期は魚が溜まっているようで何回も反応が有り、今日初めてのヤマメもヒットした。

グリーンバックの綺麗な個体で写真を撮らずにリリースしたことが今となっては残念なことだ。

 

あ~っ !!

 

堰堤を左右に分かれて釣っていた友人から声が上がった。

結構なサイズのイワナをネットイン寸前でバラシてしまったらしい。(卸したてだった)

今回は入魂ならずだったけど次はもっとデカい奴で入魂できるさ。

シーズンは始まったばかりでチャンスはこれからたくさんあるから。

 

 

 

Tackle

    Rod Casket Revolution RB55MS

    Reel Abu Cardinal 33

    Line ナイロン5lb

    Minnow Rhetenor 48S Arrow53プロト Helena53SMDT 52HSプロト